追いかけて~恋の行方
「タカダ先輩! 来てくれたんですね!」

スピードを上げて駆け寄った、麗の顔は僅かに上気して、そのあまりに真っ直ぐな瞳におれはたじろいだ。

「まぁ、おれのジョギングコースだし、たまたまだ……」

「うん。知ってます。時々見かけたことあるし」

「えっ?」

なんだ、こいつ、俺のこと前から知ってたってことか?

「あたし、土曜はいつもここで練習してるし、中学ん時は朝もこの土手走ってたことあるし」

「で、練習って、これ?」

俺は、麗の肩にかけられたボールを指差した。

「そうですよ。何だと思ったんですか?」

「お前、サッカーやんの? 見るんじゃなくて?」

「あたし、中学ん時はサッカー部だったんです。あ、勿論、試合とかには出してもらったことありませんけど。一応、男に混じって練習してました」

「ふぅーん。それで、練習ね」


< 98 / 171 >

この作品をシェア

pagetop