My fair Lady~マイフェアレディ~
顔だけ剥き出しなんだから当たり前だ。でもやっぱり痛い。手で触れてみたら信じられないくらい冷たかった。彼はそれに気付いたのか俺を抱えなおして右手で抱え込むように包み、そして左手で俺の頭を撫でた。よしよしと上から下へ撫でられる。

昨日まで一緒にいたパパンにこういった撫でられ方をされた事がなかったので俺は心底驚いた。

パパンが俺にした撫で方はグリグリと下に押し付けて擦るような感じだ。ちょっと雑で髪がグシャグシャになるけど、あの大きなボコボコの手が大好きだった。

今の手は、何も着けていないので当然氷のように冷たい手だろう。しかし、それは俺の髪には伝わらない。だが、彼の手は細く長くそれでいて大きく美しい手だという事がわかる。


慣れない感覚に驚きを隠せずに彼を見れば、彼も俺を見て微笑んでいた。
獲物を見る目じゃない。安心させるように。
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