My fair Lady～マイフェアレディ～

パチパチと何かが弾ける音に目を覚ました。
とてもとても温かくて。まだ瞳を閉じていたい気分だった。
フワリと何かが漂って来た。それは俺の鼻をくすぐり、俺の何も入っていない腹を強く刺激した。

（なんか…お腹空いたかも……）

考えてみれば朝から何も食べていない。俺は元々小食なのと、旅をしながら生きてるせいかあまり食べ物にありつける事がなかった。

本当は子供によくない事なのだけど、今の俺にそんな事がわかるはずがない。
ずっと、そういうものなんだと思って生きているのだから。


目をうっすらと開く、まだ完全に覚醒していないせいか世界はとてもあやふやに揺れ動いていた。
ぼやける視界を手で擦ると目の前には暖炉があり、小さな火がパチパチと木を燃やしていた。

「起きたか？」