My fair Lady~マイフェアレディ~
彼は両手で俺の頬を包むように掴んだ。そしてぐっと近くまで顔を近づけて来た。コツッとおでこがぶつかった。彼の目が俺の目を見る。まるで洗脳される儀式みたいだ。

「俺は、パパンだ。ユウ、言ってみろ」

「え…」

「ロードじゃない。パパンだ。そう呼ぶんだ。」

「ぱ…パパン…?」

そう呼べば、彼はニコリと張り付かせた笑顔を浮かべてやっと俺を解放した。

「いい子だな。ユウ」

彼は食器を持って部屋を出て行った。

俺はドッと噴出す汗と息を一気に吐き出した。彼に異常なまでの恐怖を抱いたのだ。
狼と羊だ。彼は絶対の支配者。
そして、今この時俺の中で彼の名は禁句となった。



そして、もう前のパパンの事を思い出す事も禁じられるだろう。

何故なら彼が俺のパパンだから。

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