My fair Lady~マイフェアレディ~
リリーさんに包帯を巻いてもらうと今度はカイトの部屋に通された。
俺の隣にカイトが座り頭を撫でられる。
俺は少し恥かしくなって。何て言えばいいかわからなくて…でも、もっと撫でていてほしくてコロンと横に倒れて頭をカイトの膝の上に乗せた。

頭上からカイトのクスリと笑う声が聞こえた。
嫌味ではなく優しい響きだった。

カイトの手は頭から首、背中を撫でていく。まるでペットのようだけど。
気持ちよくて眠ってしまいそうになる。


懐かしい感覚。


そう、優しい。彼の手。



また涙が出てきそうで、鼻の頭がツンッと痛くなる。
ただ必死に目を瞑って俺は涙を堪えた。


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