My fair Lady～マイフェアレディ～
俺はポンポンとカイトの二の腕を叩く。するりとカイトは俺を離した。

「ありがとう。カイト。大丈夫だよ」

俺の笑顔を、何か言いたそうな顔で見返された。それに俺は気付かないフリをした。
だめなんだ。これ以上。
貴方を巻き込めない。

トントンっとノックの音が聞こえた。次にカチャッと扉が遠慮がちに開く。

「カイト、いい？」

「何？リリーママ。」

カイトは扉の向こうに立つリリーさんに顔を向けて答えた。

「お腹空いてる？ご飯食べない？」

リリーさんの言葉に俺はそういえば今日は何も食べていない事を思い出した。
カイトが食べるか？と聞いてきたので、俺はお言葉に甘える事にした。

俺が頷くと、リリーさんは遠慮気味に開いていたドアを勢いよく開いて「そうこなくっちゃ！」と少女のように喜んで「すぐ用意するからね！」とパタパタと走っていった。

俺達はそんな元気なリリーさんの様子をポカンと見ていた。

「……元気だね」

俺の素直な感想にカイトは苦笑していた。

「ユウに元気出してもらいたいんだよ」

それに俺も苦笑を返す。

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