My fair Lady~マイフェアレディ~
しばらくたって客がたまたま減った時だったのか、リリーさんが俺を呼んだ。

「ユウちゃん、お迎え呼ぼうか?」

「え…」

「お~そうした方がいいぜ。物騒だしさ」

カイトとリリーさんが優しく笑って気遣ってくれる。俺はとても複雑な気持ちだった。


彼に会いたい。
会いたくない。


矛盾した思いが交差している。
でも、二人に説明できるはずなくて、俺は曖昧に笑って「お願いします」と口にした。


二人はにっこり笑う。


温かい笑顔。
迎えに来てくれる彼らもまた、こんな笑顔でいてくれるだろうか…。



俺は不安の渦に巻き込まれていった。

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