My fair Lady~マイフェアレディ~
俺の手が少し震える。

「何も。何もしてない」

「汗だくだな。熱いのか?」

「嫌な夢見ちゃって…飛び起きたんだ」

「へぇ、どんな?」


いつもは俺に縋りついて来るのに、一人で平気だったのか?エライなぁ?


彼の一言一言が俺の心を刺激する。ザワリ、ザワリと恐怖を煽る。

「呼んだよ…パパンを…」

「本当か?気付かなかったけどなぁ」

「聞こえなかったんじゃない」

さくさくとパンを食べる俺を彼は頬杖を付いてニヤつきながら見ていた。

「そうか?」

「そうだよ」


「ずっとお前の後ろにいたのになぁ…」


ボトリと、パンが下に落ちた。


「……え…?」

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