My fair Lady~マイフェアレディ~

「別にいいぞ」

彼は洗いながら答えた。

「俺も明日は色々忙しいからな。ネオードの所へ行ってるといい」

「ほんと?やったぁ~」

今度は軽めにサッと洗ってまた流す。最後にリンスをつける。少し髪に馴染ませる程度でそれもサッと流す。これがいつもの洗い方だ。

身体も洗って俺は湯船に入る。彼は俺が入ってから自分を洗う。
ネオードと入るときは流しっこするんだけどなぁ。


髪を洗う音が響く。


俺は頭を洗って、自分とは目が合わないだろう彼の姿をじっと見る。
彼は一体なんなんだろうと思う。
最初から目的がわからない謎の男。


彼は人には絶対近寄らない男だと聞いた。
だからこそ。こんな場所に家を建てて一人で暮らしているんだ。


そんな彼は何故自分を拾い。育てたのか。
まったく人間嫌いを感じさせない生活だった。


俺にとても優しくよくしてくれたし。
周りのおばちゃんやお姉さんに対してだって自分からではないにしろちゃんと対応していたし、俺の親友のカイトにだって普通に話してた。



知りたい。


全てを知りたい。



隠されている事を全て。




情報が必要だ。
彼を知るための色々な情報が。



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