My fair Lady~マイフェアレディ~
「で、どうしたんだ?」
「実は…ね」
俺は大きく深呼吸すると何故かお互い正座で話をしていた事に気付き。ちょっと笑えて気が緩んだ所を見計らって話を切り出した。
「調べたい事があるんだ」
「調べたい事?」
「うん。俺の関わった事件の事」
カイトがピクリと反応した。眉間に少し皺が寄っている。
「カイト、初めて俺が襲われた時の犯人…本当にバラバラ殺人の犯人だったの?」
「……どういう事だ?」
カイトの低い声。それはカイトがいかに真剣に話を聞いているかが伺えた。
「うん、あのね。あれってまったく別の犯人だと俺は思うんだ。ねぇ、カイト。呻き声
の噂知ってた?」
「呻き声…ああ、亡霊のなんだかってやつか…」
そうれがどうしたとカイトが呟く。
「あの腕だけ発見された事件の被害者と呻き声の正体は一緒の人物なんだ」
「なに…?」
「俺が二回目に襲われた時の犯人がそいつだったの」
カイトの目が見開かれた。無理も無い。
「前に、言ってたでしょ?“黒い死神”」
「…ああ、前に目撃者の…見たっていう」
「その俺を襲った奴は。“悪魔に腕を持っていかれた”と言ってたんだ」
カイトは少し考えるようなそぶりをすると、すぐに俺に向き合った。
「腕は見つかってるぜ?持ってかれてなんか…」
俺は首を振った。
「犯人の目的は身体をバラバラにする事じゃない。動機はまだよくわからないけど、何か目的があるのは確かだよ…。」
「悪魔、黒い死神…手がかりにならねぇな…」
はぁ、と溜息を吐くカイト。俺にはそれは嫌味なほどに明確な手がかりだった。
バラバラ殺人の犯人は恐らく…。
「ユウ」
俯いた俺にカイトが呼びかけた。俺は慌てて顔を上げる。
「それで、ユウ。お前は何を知りたいんだ?」
「え?」