My fair Lady~マイフェアレディ~
来た時と同じ様にランの所まで走って。ランを引き取るとお礼と共に走り出した。
いそげ…いそげ…!!


緊張はピークに達していた。冷や汗が次から次へと流れてくる。
腰を上げて、身柄を前に屈めて ランと一体になったように草原を走った。

「ラン!急いで!!」

俺の声にランが唸る。ネオードの家が見えてきた。
段々とスピードを緩めて俺はランから降りると額に流れる汗をぐいっと拭った。

辺りは穏やかな雰囲気だった。のんびりと作業をしている人達が遠くに見える。
俺はキョロキョロと辺りを見渡した。ネオードはまだ帰って来ていない。

「はぁ~!!」

俺はその場で尻餅をつくように勢いよく腰を降ろした。

(よかった…間に合った…)

ランが俺の背中を頭で小突く。

「ラン~~ありがとう~~」

俺は嬉しさにちゅっとランの頬にチュウをする。


うん、このタイミングなら行ける!!


俺の胸がまた高鳴った。
これは、緊張と期待に満ちた興奮から来るものだった。


カイトは俺以上の行動派で、何よりそういう情報を集めるのが趣味のようなものだ。
ネオードと彼の予定を把握して。時間を見てやれば…。

俺はゴクリと喉を鳴らした。




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