My fair Lady～マイフェアレディ～

夜の寝静まる時刻。
俺は歌を聴いた。


『Wood and clay will wash away,
　Wash away, wash away, 』

だが、どこから聞こえて来るのかわからない。

　Wood and clay will wash away,
　My fair Lady……』


段々と音は小さくなっていった。
そして薄っすらと目が開いた。

そこで俺は今までの歌が夢であるという事を理解した。
俺がそのままポーッとしていると。
背中越しにモゾリと動く気配がした。


彼が起き上がったという事がわかった。


彼はスルリとベッドを抜け出した。ヒュッと布が一回擦れる音が響いただけで後の音は無音。人間にこんな事が出来るのかと真剣に考えてしまった。

彼は足音も一切立てずに部屋を歩いた。俺は薄いカーテン越しにそっと、彼を見た。
恐怖でほとんど身体は動かなかったので無理矢理動かした首は酷く痛かった。

（……！！）

俺は息を呑んだ。彼が今立っている場所は間違いなく、あの音が違っている場所だった。
俺は自然と彼の行動を息を潜めて凝視していた。