My fair Lady~マイフェアレディ~
俺がびっくりして飛び跳ねると、出てきた人物は俺を見るなりもっと驚いた様子で声を掛けてきた。

「君!!」

「はい?!」

俺はさらに驚くと、よく見ればそれはあの時俺を手当てをしてくれたおじさんだった。

「やぁ~君、随分探したんだよ!」

おじさんは皺を深く作ってホッとしたように溜息を吐いた。
俺が目を丸くしているとおじさんはゆっくりと説明してくれた。

「いやね。色々聞きたい事あったからさ。あの時は話しなんて出来ないだろうと思って
帰したんだけど…君この街の子じゃないの?」

俺は曖昧に答えて笑うと、ハッとしたようにおじさんに詰め寄った。

「俺、どうしても聞きたい事があるんです!」

「聞きたい事?」

今度目を丸くしたのはおじさんの方だった。
おじさんは少し黙ったあと「じゃあ中に入ろうか」と俺を中に招き入れてくれた。

俺はとても小さな部屋に通された。
部屋は密室で。その小さな部屋には真ん中に机が一つとソファーが向かい合わせで設置されていた。

おじさんは「ここで待っててね」と俺に言い残し、部屋を出て行った。
しばらくして、おじさんは再びこの部屋に戻ってきていた。
手にはお茶と茶菓子が二人分あった。

「やぁ。待たせてごめんね」

「いえ」

お構いなく。と言うとおじさんは関心したように「礼儀正しいねぇ君」と笑った。
まぁ、彼はこういう事にも厳しかったし。と俺は苦笑を返した。
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