My fair Lady~マイフェアレディ~
彼はそんな俺をうっとりと見つめていた。
俺の身体をベタベタと触る。ビクリと俺が所々震えるのを見てふむと何か頭で計算をしているようだ。


そして。


「ぐ…ぁあああっ!!ひぎっ!いあっ!あああぁっ!!!」

気が狂うくらいに鞭で打たれ続けた。叫べば叫ぶ程彼の顔はほころぶ。

叩かれるのは主に胸から太ももの辺りまで服はボロ布のようになって床に落ちている。

呼吸する暇さえなく。辺りに鞭を打つ音だけが響く。肌を裂くくらいに協力な鞭を喰らうと彼は「おっと」と笑い。「悪い、手が滑った」と言ってその傷を舐める。それも舌でえぐるようにぐりぐりと押し付けて傷をこじ開ける。

気絶すれば頬を打たれ、水を掛けられて起された。何時間も続けられて段々叫び声も小さくなっていく。


涙を流して目を開けたまま気絶しそうになっていた所でカラリと彼の鞭が床に落とされた。


俺はそれにぴくりと反応する。次に彼がふわりと包むように俺を抱き締めた。

愛おしそうに頭や腰を撫でる。持ち上げられて。腕の痛みが少し和らぐ。
涙が零れる。もう流れないだろうと思っていたのに。
ああ、終わるのかと淡い期待と優しくして欲しい願望。

俺はこれ以上酷い事をされたくなくて乾いた喉で必死に彼に許しを請う。

彼は困ったような笑い顔を俺に向ける。
頭を撫でながら再び俺に言った。

「ユウ、どうして街に行った?」

だが、答えられない。何て答えればいいの?
貴方が犯していたかもしれない事件を調べていましたって?

答えられるわけがないじゃないか…。


「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」


これ以上、答えられない。
ただ泣いて、許しを請うしか、今の俺には出来ない…。


彼はそんな俺に、くっと口の端を上げる。

「じゃあ、仕方が無いな…」




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