My fair Lady～マイフェアレディ～
彼はスープ皿を取り出して温めた中身をサッと更に流し込む。
そして振り向いてニッコリ笑った。

「さぁ、ユウ。熱いうちに食べな」

コトリと置かれたスープ。

キャベツと肉団子が入った美味しそうなスープだった。
彼に渡されたスプーンを持って。俺はそのスープを一口飲んだ。

「……美味しい」

彼はニコニコと肘をついて俺の様子を眺めている。
キャベツをすくう。スープと一緒に口に含んだ。キャベツはとてもスープが染みていてやわらかく、口の中で溶けるような感覚だった。

ごくりと飲み干すとまた次を口に含み。一定の速さで。無言で。スープを黙々と口に運ぶ。


ふと、彼がそんな俺に手を延ばしたかと思えば俺からスプーンを取り上げる
俺は彼をジッと見上げた。彼はニコッと笑って中の肉団子を二つに割った。断面には緑色の葉と細かく切り刻まれた玉ねぎが見えた。

彼ががそれをスプーンにすくって俺の口元に運ぶ。
俺はそれに素直に口を開きそれを含んだ。

ショウガの味がきいてサッパリとしている。続いて大葉の香り。肉汁が口に広がりコクンと自然に喉を通る。


美味しい。


彼は飲み干したのを見て、ますます笑みを深くしてもう一欠けらを俺の口に運ぶ。

「美味いか？」

コクンと頷くと俺はスプーンを受け取りまた静かに食べ始めた。
彼はやっぱり笑っていて。俺を見ている。


カチャカチャと金属のぶつかり合う音が響き。俺は現状に何の不満を持つわけでなくただ、食べ続けた。

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