My fair Lady~マイフェアレディ~
そんな中、俺の動かすスプーンの音以外の音が俺達の耳に飛び込んだ。
コンコン、という控えめなノックの音。
彼は席を立つと玄関に向った。俺はまたスープに集中する。


彼がカチャッとドアを開ける。

そして一呼吸置いてからその人物の名前を呟いた。

「……ネオード」

そこに立っていたのはネオードだった。俺はその名前にピクリと反応して顔を上げる。

「よう。……ユウはどうだ?」

「そこにいる」

俯くネオードは俺が起きている事を知ると顔を上げて、いそいそと俺の所まで歩いてきた。

「……ユウ!」

嬉しそうにネオードが俺に近づく。俺もそれに応えようとした……が、それは途中で終わる。何故ならネオードの顔が今までに無い程引きつっていたからだ。


ガッシャーン!!と皿が割れる音が響く。俺は何が起こったのかまったく理解できない。
彼がキッチンに入って来るとネオードはガッと彼の胸倉を掴みガン!と勢いよく壁に叩きつけた。

「お前ぇ!!どういうつもりだぁっ!!」

ネオードの顔は真っ赤になり。目は鬼のように釣り上がっていた。
歯が血が出るんじゃないかという程に食いしばられている。
いつかの光景以上の迫力だった。

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