My fair Lady~マイフェアレディ~
しばらくそうしていて。
俺は泣いた後のせいか、ぐったりとしながら。

まどろんだ思考の中でポツリと呟いた。


「ねぇ、パパン」

「…なんだ?」

彼も静かに俺に応えた。


「街に、行きたい」


彼の身体が動いた。俺は落ち着いた口調で、言葉を続ける。



「一緒に、また……お買い物、しよう?」



顔を上げて、彼を見た。

彼の顔を見ようとしたが、それよりも先に彼の胸に抱きこまれた。

苦しいくらいに。


「……ああ、そうだな…っ」




彼もまた苦しそうに答えていた。





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