My fair Lady~マイフェアレディ~
そんな日が続いて、今日も日は静かに落ちる。
今日は花の香りのする、風呂に入った。
腹の傷を気遣って。丁寧に入る。


そして彼は嬉しそうにベッドに俺を押し込める。

艶やかな黒髪が揺れて。真夜中の星空のように輝いた黒い瞳はギラギラと俺を捉えて離さない。


 『Build it up with iron and steel,
 Iron and steel, iron and steel,
 Build it up with iron and steel,
 My fair Lady.』


早く寝なさいと言わんばかりに歌を歌う。

いつもの甘い声であるはずだが。それは全く落ち着けるものではなかった……。
明らかな狂気を感じる。


 『Iron and steel will bend and bow,
 Bend and bow, bend and bow, 
 Iron and steel will bend and bow,
 My fair Lady.』


歌っても眠る気配の無い俺に彼は首を傾げた。
いつも全て聞き終わる前に眠ってしまうのに。


「ユウ、一緒に歌おうか?」

彼の意外な言葉に驚いていると。彼はやっぱり笑っているだけで。


彼は続きを歌いだし、俺も慌てて後を続いた。



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