My fair Lady~マイフェアレディ~
「どうした?」

彼は俺に視線を向ける。
パパンは俺をとても大人しい子供だと言っていたのを思い出す。
その時は俺はそうでもないと思う。なんて思っていたが、

いや、目の前の子供は凄い迫力だ。はちきれんばかりの笑顔と行動力。

あれが、普通なの?っとちょっと自分に対して不安になってしまった。
彼はそんなショボくれた俺に首を傾げながら抱き上げた。少し腕を揺らして「どうしたんだよ?」と言って頬を突いたりしている。


「む~…」


俺はそれに頬を膨らませていると、ある事に気付いた。
まわりはほとんど女性。そして子供達だ。

彼はとても背が高い。こうして抱っこしていてもらえば潰される事もはぐれる事もない。

ナイスアイディアというやつだ。



「ねーえ」


さっそくおねだりする。

「なんだ?」

「抱っこして」

「してるだろ?」

「ずっと!」

「買い物中…ずっとか?」

「ずっと」

俺は彼に拒否権はないとばかりにしがみ付いた。
彼はそんな俺に一瞬キョトンとして、すぐに嬉しそうに笑った。

呆れられるかと思っていたのに予想外だ。

< 33 / 509 >

この作品をシェア

pagetop