My fair Lady~マイフェアレディ~
ひたすら泣き続ける俺の頭を撫でて彼はまた嬉しそうに語りだした。

「どうだ、ユウ。凄いだろう?これで俺の仕事は終わる……ああ、やっとだ。やっと終わったんだ。傑作だ!ハハハハ!!素晴らしく醜いだろう!?ハーッハハハハハ!!」

彼は今まで見たことも無いような高笑いをした。

俺はザーッと身柄が冷えるのを感じた。これが血の気が引くというのだろう。

彼はポタポタと落ちる血液を指で受け止めるとそれを口に含んだ。
ごくん、と喉が通る。彼はニタリと笑って。「はぁ、素晴らしい」と呟いた。


(……狂ってる…)


身の危険を感じた俺は逃げ出そうとするが、簡単に彼に捕らえられてしまった。

「こぉら、真っ裸でどこへ行くんだ?」

口の端が赤い。
彼じゃない。彼じゃない。こんなバケモノ…!!

「ふえ、うあああぁぁん…!!」

火がついた様に泣き叫んだ。なんとか逃げ出そうと我武者羅に目の前の彼を叩く。だが、彼は片手で俺の両腕を取り、もう片方でしっかり抱き込むと「シーーッ」と落ち着かせるように言う。

「ああ、寒いんだな。よーし、よーし。今、服を用意してやるからな……ユウ。泣くんじゃない……いい子だなぁ…」

よしよしと撫でられる。


いつもよりも、ずっと子供のように扱う。



だが……目が…合わない。



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