My fair Lady~マイフェアレディ~
『London bridge is falling down,
 Falling down, falling down,……』


彼は俺を抱えて部屋を出ていく。
俺は部屋からは出たかったので、とりあえずは大人しくしていた。


脱衣所で俺は降ろされた。

「下着はそこにある。シャワーを浴びなさい。今服を持って来るから……ん?どうした?泣きそうな顔をして……ああ、寂しいんだな?待ってろ、今下からお前の大好きなネズミのぬいぐるみ持って来てやるから…」


彼はそう言ってまた地下に向った。



俺は慌てて下着を履き、今日脱いだあの警察にもらった長いシャツを着た。
ズボンは…仕方が無い。


俺はその姿で家を飛び出した。


彼はまだ来ない。
大丈夫……大丈夫……!!


お腹に負担をかけないようにして走る。
俺は目からポロポロと涙を流した。

「うえ……酷い…酷い…こんな、こんな事って…」

我武者羅に走る。もうどこに向っているのかわからない。
ただ、彼から少しでも離れなければならない。



捕まったら。確実に殺される。


酷く、理不尽に思えて来る。



俺が何をした?


何が彼を狂わせた?




何であんなに優しくしたんだよ…。俺を何で育てたんだ。



あのまま……暗い路地に…捨ててくれればよかったのに……!!


「俺の幸せを返せぇえええ!!!!」

酷く切なく、虚しく俺の叫びは闇に消えていく。
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