My fair Lady~マイフェアレディ~
「どういう事だ?名前が違うぞ…」
「やっぱり人違いじゃねーか!おかしいと思ったんだ何でこんなとこにいるんだよ!!」
「待て、確認をしよう」
男が持っていたトランシーバーのようなものを俺に向けた。
それは電卓のように小さな画面と数字のボタンがあった。
「人権番号を打て。わかるだろう?」
この街には人権番号。住民登録として一人一人、本人だけに知らせる番号がある。
それが自分の証明書になるのだ。
俺は震えながらボタンを押して、エンターを最後に押した。
ピーーッ!!という音を聞くと、男はその光る画面を覗き込んだ。
「ユ、ラ、イ、ア、ス……確認した。ターゲットじゃない」
男の言葉に全員が脱力した。もちろん俺も。
彼らは溜息を吐いて俺から離れて言った。俺は早鐘のように鳴る鼓動を落ち着かせる。
「たっく、とんだ無駄足だぜぇ」
「そう言うな」
「どこなんだよ、その『ユウ』って奴は」
男達の言葉に俺の落ち着いてきた心臓は再び跳ね上がった。
違う。ターゲットは間違っていない。
ユウ、は。俺の愛称だ……。
ゾッとして、俺はその場でしばらく立てずに、男達の足音が聞こえなくなるまで座り込んでいた。