My fair Lady~マイフェアレディ~


「いや、こいつに服をな」

「いいのをご紹介します!」

「いや、いい。ゆっくり見て回る。すまないな」

「い、いえ!」

彼女は真っ赤な顔を両手で抱えながら逃げるように去って行った。
なんだか面白くない。


彼は、また何事もなかったように服を持ったり広げたりしてみている。

時々片腕に支えられている俺に「どの色がいい?」なんて問いかけてくる。


周りは気になるが、俺は彼のように気にしないようにして服に集中した。

< 35 / 509 >

この作品をシェア

pagetop