My fair Lady~マイフェアレディ~
二人の兄はそれぞれ下の兄弟の様子を見ながら食事をする。時々熱くてひっくり返る時があるのだ。


隣の部屋から、母親の声が聞こえてくる。


「ひっく……ひくっ…私もう、無理よ……」

「何言ってるのフィレネ。私がついてるわ。大丈夫よ。さぁ、私の息子のスープを飲んで。貴方のために作ったのよ。最近まともに食べてないでしょう?」


ロードは心の中で溜息を吐く。
それに気付いたレオンがロードの服の裾を引っ張った。

「ん?」

「ロード、大丈夫?」

「ああ、もちろんだ」

笑って頭を撫でると猫のように擦り寄って来る。ロードは心底自分の弟が可愛かった。



基本的にロンナは厳しい母親だった。

フィレネはそれでも子供好きで、自分の子供が近づいてくれば有無も言わずに抱擁してくる。

だが、ロンナはそんな甘ったれる事は許さない。だが、自分の子供を愛していないわけではない。

厳しいが、それは逞しく生きる事を願っての事。加えて、レザートは子供は余り好きでないらしい。

なので親の触れ合いというものがこの家族には無かった。

< 351 / 509 >

この作品をシェア

pagetop