My fair Lady~マイフェアレディ~
「残りの食料はほんのわずか、子供達だけで節約していけば20日は持つわ。それまでに私たちが食料を集めてくるの。」

フィレネはキラキラとした水色の瞳をしっかり開いて話を聞く。泣きたいのを我慢しているのを誰もが見てとれた。それでもフィレネはしっかりと背筋を延ばして話を聞こうとしている。

その姿はロンナでさえ見た事がなかった。

「一人でも大人は残れないの?」

「残れないわ。実際誰が残るの?一人いても役不足よ。」

レザートは子供嫌い。フィレネは泣き虫で諦め早い。ボルトは鈍くさい上に利口でもない。

それではダメなのだ。

「貴方がいるわ。ロンナ」

「え?」

「貴方がここに残るべきよ」

「それは無理だ」

フィレネの言葉にレザートが口を挟んだ。


「食料はどこもみんな欲しいんだ。簡単に事が運ぶと思うな。それにアンタらの世話を俺一人に押し付けられるのはゴメンだ。」


「レザート!アンタは黙ってる約束でしょ!!?」


ピシャン!とロンナが怒鳴るとレザートは再び黙った。怒鳴りかけようとしたオルドまでも腰を降ろした。

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