My fair Lady~マイフェアレディ~
俺は色々な人間から情報を手に入れていた。

そして掴んだのが、一人旅をしている奴の情報だった。
やはり、あのメッセージは有効だったらしい。まんまと動き出してくれた。


奴の通り道に俺の住んでいる街がある。
俺は慌てる事なく、そいつがこの街に訪れるのを待った。


そして。


奴は来た。


大きなトラックに乗っていた。街の人間に気前のいい笑顔を向けて談笑していた。
俺はそれを遠くから見つめていた。

奴の胸に光る。緑の涙の形をしたネックレスを見て。


俺の腹はぐぐっと痛みを覚え、沸きあがる冷たく真っ黒なモノにペロリと唇を舐めた。


俺はそのまま、奴を観察していた。

そして俺は奴を人伝いに夜中に呼び出す事にした。


夜まで待とうと、俺はその場を離れようとした。だが、背を向ける瞬間に目に飛び込んで来たのは奴が、幼い子供の両脇に手を入れて愛おしそうに抱き上げた姿だった。

< 408 / 509 >

この作品をシェア

pagetop