My fair Lady~マイフェアレディ~
目が、カッと熱くなった。


まるで宝物のように、頬刷りをしてキラキラ光るような笑顔に見とれているあの男……。


前に殺した奴にも嫁がいた。だが、子供はいなかった。

女は赤の他人だ。何の関係もない。だから男を殺してそれで終わりだった。


グワングワンと俺の脳が揺さぶられる。

俺の大切なものを奪った存在が同じ大切なモノを抱えている。


ああ、壊したい。あの幸せを壊したくて仕方が無い!!



だが、正直困っていた。


あの男は殺す。だが……子供まで……。

確かに、あの憎い男の子供だ。だが、半分は何も知らない女の血。
新たに生まれたその命は、何の罪も無い。

訳のわからない状態で、理不尽に殺してしまうのは奴らと同等ではないだろか。



俺は頭を振り、とにかく夜を待った。


< 409 / 509 >

この作品をシェア

pagetop