My fair Lady~マイフェアレディ~
「ユウ」
名前を呼ぶ。これは責任だ。
「ユウ、どうした?怖い夢でも見たのか?」
大きな瞳が唖然と俺を見た。
暗闇の中でさえ、その瞳は涙に濡れて輝きを増す。
俺の大切な光。
こんな、暗闇に閉じ込めてしまった俺の責任なんだ。
だから……。
俺は自分にいい訳を繰り返し、ユウを慰めた。
ごめんな、俺は慰め方をこれしか知らないんだ。
歌う事でしか、人の心を動かせない。
だが、これはもう。こいつにとっては……。
そう考えていると、ユウは俺に身柄を擦り寄らせた。
ビクリと体が強張る。だが、ユウはさらに身柄を俺に預け、強く俺を抱き締める。
嗚呼……なんて……愛おしい……。
ユウを抱き締めた。まだ、薬の匂いがする。
それでも、抱き締める心地はやはりユウのもので……。
このまま……時なんか……止まってしまえばいいのに。
それくらい。俺は幸福だった。