My fair Lady~マイフェアレディ~
カイトはガチャリと鍵を開ける。
「ユウーー?」
辺りを見渡してもユウはいない。カイトは首を傾げて先程ユウが立っていた場所に向う。
「ユウ…?どこ行ったんだ……?」
そこへ「ふぁっ」と欠伸をしながらカイトの母リリーがカイトの後ろから姿を現した。
「カイトー?どうしたのこんな夜中に……」
リリーも眠い目を擦る。
「ああ、今ここにユウが……?!」
「んー……ユウちゃんがどうかしたの?」
「リリーママ……ここ、ユウが立ってた……場所」
その言葉にリリーは首を傾げた。それがどうしたと言うのか。
リリーは首を傾げたままカイトに近づいた。
「これ……血、だよな……?」
「へ………?」
リリーは手で口を押さえて固まった。
そこにあったのは水溜りのように出来た血の跡。
ガタガタと震えるリリーの肩を掴みカイトは叫んだ。
「リリーママ!!警察!早く警察に……!!ユウが…ユウが……!!」
二人は慌てて駆け出した。
「ユウーーー!!!」
静かな街は動き出す。