My fair Lady~マイフェアレディ~
ロードはガクンと膝をついた。その目から止めようにない水滴が目から溢れていた。
ユウはそっと近づき血を丁寧に拭いて彼の顔をその手で包んだ。
「ユウ……俺には……心なんて……」
「パパン……涙はね……心がなかったら、流れないんだよ」
「そうだ。俺はバケモノ……」
ユウは胸が痛んだ。
本当に彼は悲しい人。そして酷く優しい人。
自分を壊してまで誰かを守る事。
壊れる事が出来ずに、愛してしまう自分に絶望する事。
なんて、辛い事なのだろう。
「パパン、泣いてるよ」
ロードの顔が困惑したように歪む。
「俺のこれ触って」
言われるままにロードはユウの流れる水滴を指に絡めた。
それは一粒の宝石のようにキラキラと輝いていた。
ユウはロードの涙に触れる。
「ほら、同じだよ」
キラキラキラキラ。二人の指に光る涙の水滴。
ロードは、笑った。
クスクスと笑った。
涙をいっそう流して、綺麗に笑った。