My fair Lady~マイフェアレディ~
それから、一分もしない内に玄関の扉が開いた。

「ん?どうしたんだ」

彼は大きなバスケットを片手に出て来た。
珍しく、白いワイシャツに腕を通していた。下はいつも通りで、帽子もかぶっていない。

「今日は、黒じゃないの?」

「ああ、たまにはな」


彼はそう言ってバスケットを左に持ち、右手は俺の手を持って歩き出した。
森まで歩いて行くのだ。

俺は彼と歩くのが大好きだ。車でドライブもいいが、やはり隣で共に歩いていたい。彼の手を掴んでいたい。
どこにも行かないように。

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