My fair Lady~マイフェアレディ~
彼の隣で俺は、青い空を見上げた。美しい青空。

こんな日に思い出すのは、旅に出る前の俺の記憶。
こんな空の下走り回っていた。

どんくさい俺はいつも転んで。その度に両親が俺を抱き起こしてくれて。泣き顔の俺はまた笑って、駆け出して。同じことを繰り返していた。


俺はもうあの時にように駆け出す事もなければ転ぶ事も随分少なくなった。
あの時、俺の両側の両親は俺が歩けばどこまでも俺についてきていた。

だが、今は違う。あの時のように一人でどこか行こうとする事は出来ない。
彼の隣をゆっくり歩く事。


それが

とても満たされるのだ。



俺は今まで体験したことのない感情を味わっていた。



< 69 / 509 >

この作品をシェア

pagetop