My fair Lady~マイフェアレディ~
彼はそっとその馬の背に俺を乗せた。手綱をしっかり持たされる。

そして彼はゆっくりと馬を誘導させた。
馬はゆったりと動き出す。彼の歩調に合わせるように。彼より少し高い位置がなんとも言えない嬉しさを感じた。


「こら、足をばたつかせるな。馬が驚くだろ」


ぺしりと俺の太ももはたく彼。まったく痛くないそれに俺は「はーい」と生返事を返した。


「パパンは乗らないの?」

せっかくもう一頭いるのに、と俺が言うと、彼は苦笑して俺に言う。

「お前、俺が離れて平気か?」

そう言った彼の顔から馬に視線を移すと馬はブルルッと首を振って唸っていた。
あ、なんか走り出しそう?
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