図書室の彼にはご用心?!
暁はただ口を弧に弛ませるばかりだった。
キーンコーンカーンコーンー・・・
長くチャイムが鳴り響き、学校が授業の終わりを告げる。
暁は鞄をひょいと肩に引っ掛けると図書室に向かった。ドアを開けて、図書室の一番奥へと進む。図書室には本が読みやすいように、ソファーやテーブル、椅子が多く設置されている。
学問書コーナーのさらに奥、図書室の突き当たりにもソファーが1つ設置されている。壁には床から天井まであるステンドグラスの窓があり、セピア色やら、水色の光を投げかけていた。
暁はどさり、とソファーに沈み込む。
ここまで奥には滅多に人が来ないため、暁はほぼ毎日放課後をここで過ごしていた。
ぐーっと背を伸ばして、ふっと力を抜くと、手が顔の傷に触れた。傷の長さを確かめるように、指でトントンと叩く。
と、思い出していた声が遠く聞こえる。
「郁美のバカー!!」
相変わらずの図書室での大声に笑いが漏れた。
・・・図書室の一番奥まで聞こえるって、どんな大声だよ・・・