図書室の彼にはご用心?!
私は昨日も通った本棚の通路をずんずん歩く。
図書室の掃除ってどんだけかかると思ってんの!
郁美のバカー!!
ってか、他の図書委員はサボってるでしょ・・・
何で私しかいないのよー!!
イライラしているからか、歩くスピードが上がる。前なんて、全く見てなかった。いつの間にか、小走りになっていた。
「おいっ!前見ろ!」
前方から、大きな声が聞こえて、初めて周りの状況が見える。
「ほえ?」
目の前・・・、私の視線より少し下に暁先輩の顔がある。どうやら、座っているらしい。
え?ってか、暁先輩の顔、近づいてない?
いや!違う!!
私が暁先輩に突進してるんだっ!!
「・・・!!!」
自分が突進してると気づいたからってすぐに止まれるもんじゃない。しかも、もう暁先輩は目の前。
私は声もあげれず、暁先輩の座るソファーにダイブしていた。
いやーー!!!
目をぎゅっと瞑って、手をばっと前に出す。
「おわっ!」
耳に暁先輩の声が届く。
ガタタンッ
昨日のデジャヴのような音が鳴った。