図書室の彼にはご用心?!
「あ、そうだ。くるみ、この本直してきて。」
郁美が返却ボックスの本を手渡す。緑先高校は私立ということもあって、図書室の設備は凄い。冷暖房はもちろんの事、教室の何倍もある図書室は背の高い本棚がずらりとならぶ、さながら図書館のよう。DVD、パソコンも常備なので、利用者は多い。そこで、私たち図書委員の出番だ。
司書さんの手伝い・・・つまり、雑用をするのだ。返却された本を本棚に戻したり、とか。
私は郁美から渡された本たちを持って本棚を捜していた。本には棚の番号がふってある。
えーっと、T棚だから、学問書コーナーか・・・
こんなの読む奴の気がしれない、本を抱えて、普段あまり人が居ないT棚に向かう。
どどーんと反りたつ壁のような本棚の間を歩き、何となく埃っぽい匂いのする奥までたどり着いた。
うっそ!この本たち一番上の棚?!
棚番号の後ろにふられる書物番号が示すのは10番台・・・つまり、一番上。
私はなかば青ざめて(いるだろう)表情で上を仰ぐ。