<コラボ小説>偉大な緑の協力者~トリガーブラッド~
第三章 葛藤と光

人懐っこい男

 一般市民も見学に来れる‘クリーンなイメージ’の製薬会社。

 一階から三階はセキュリティが低く、地下0号や四階の通路や社長室はセキュリティが厳しい。
 
 とりあえずレイは社長室を後にした後、一階の休憩所に行く。
 上層部が居れば一般社員は中には近づかないし入ってさえこない。見学者の客も数人居たが、離れた席に座っている。

 打ち合わせの為演じる以外では、一度も立ち寄る事も無く好んでコーヒーを手にすることも無い。
 
 何かしている訳ではないが、アザムに渡さなかった携帯ゲーム機を手に持ち、テーブルには二枚のソフトを置いている。
 アザムを‘テロリスト’の手に渡らなくする方法を考えるのに、頭の中は葛藤で一杯だった。

(自分以外の上層部の人間は人を蹴落とすためにジェイコブに密告する。下の人間も同じか又は、怖くて引き受けるはずが無い。
 自分一人ではガルナ一人でも逃げ切れるかどうかまず自信が無いのに、それ以外の護衛やテロリストに追われたら……)

「レイ殿ですよね? こんな所でコーヒーとかを飲むとは何か意外ですな」
「え? 飲んではいけない決まりは無いでしょう……」
 
 レイは苛々して答えてしまう。下の者の事を基本的に姿も声も把握しているし、普通他の社員は、上層部に一礼のみで声を掛けたがらない。

 視線はゲーム機から少し上げてみる。とりあえず警備服を着ているのが見えた。いつもの冷たい瞳を向ける。
 がっちりした感じでジェイコブよりは若そうに見える男だ。
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