カラダだけでも愛して
「雛?帰るの?」
あたしの頬を左手で撫でながらきいてきた。
「あーうん!今日午後から遊ぶ約束あってさ!」
直矢は“ふ〜ん”と曖昧な返事をするとあたしから少しはなれた。
ちょっとぐらい止めてほしかったな。
“まだいてよ。”って言ってほしかったな……。
そのことを顔に出さないように無理矢理笑った。
「じゃあ……あたし帰るね!!」
コートを羽織り、玄関に行く。
直矢はあたしの後ろをただついてきた。
靴を履き、直矢のほうを向いた。
そして優しい直矢のキスがあたしの唇にふる。
「送れなくてごめんな?」
送ってほしいよ………。
「ううん!全然平気だから!」
でも、あたしはどうせ二番目の女だから。