カラダだけでも愛して
1:繋−tunagari−
夜9時あたしは雑誌を読んでる。
飴を舌で転がしながら。
―ブーッブーッ
あたしのケータイが光とともに震えた。
「もひぃもひぃ?」
飴を食べてたから上手く喋れなかった。
「雛?今日大丈夫?」
アナタの声で胸が跳ねる。
低く透き通ったアナタの声。
「うん!」
「じゃあ待ってるから」
それだけ言うと電話は切れた。
あたしは雑誌を投げ捨て服に着替えた。
どれにしようかなとウキウキで選ぶ。
髪を横でまとめて部屋を出た。
親のいるリビングをそーっと通って家を出た。
アナタの家まで徒歩10分。
迎えにきてくれたことなんかない。