カラダだけでも愛して


そしていつものように唇をそっと重ねる。



はなれてしまったらあたしはもうバイバイ。



「じゃあ行くね!」



あたしは片手でドアを開け、外に出た。



「またな。」



またな。……なんて聞くだけでうれしい。



だってバイバイよりまた会えるっていう実感がもてるから……。



あたしはドアを背にし、歩きはじめた。



今日はまだ午後の1時30分くらいだから明るい。



でもやっぱりあたしの心だけは暗かった。



これからまた直矢が彼女さんと会うかと思うと………。



目頭が熱くなるよ……。



あたしはぐっと涙をこらえてケータイを手に取った。



そしてもう何度もかけたことのある番号に電話をかける。



プルルルルという音は3回ほどでなりやんだ。
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