カラダだけでも愛して


我にかえったあたしは奈々香のほうを向いた。



作り笑いを奈々香に見せながら言った。



「ううん。なんでもない。」



あたしは泣くのをこらえて、そのかわりに笑った。



奈々香には直矢のことを言っていない。



心配かけれないし。



奈々香はそんなあたしを見てため息をついた。



「あの男となにかあるのか?」



奈々香は真剣な目できいてきた。



………なんでわかるの?



「な、……なにもないよ」



「……嘘をつく人間は最低だぞ。」



奈々香は冷たいセリフをいってたけど、あたしを本当に心配してるようだった。
< 29 / 89 >

この作品をシェア

pagetop