リトルベリー
黒と灰の間くらいの縞模様は、どこか甘い色合いをしていた。

それは何故だか、煮詰めたイチゴジャムを連想させた。

加えて、この小ささ。

…それにどうやら、メスのようだ。

「…よし、
 お前の名前は、
 "苺"だ!」

"苺"は、ただみゃあみゃあと鳴くばかりだった。

しかし俺は、名前を付けただけで、何だか親密になれた気がしていた。

元々、無類の猫好きだった俺は、昔から何度か、猫を飼ってきた。

そして、確か中3の頃、飼い猫の死を、本当にショックだと感じたのだ。

そしてそれ以来、何かを飼うことをためらってきた。

…飼いたいとは思う。

…しかし、"死"はもう見たくなかった。





……少しだけ、遊び相手になるくらいなら、いいよな?






苺が、"みゃ"と
短く鳴いた。
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