リトルベリー
その晩、俺は、苺を潰してしまわないように気を付け、そっと抱きかかえるように眠った。

小さくて脆い存在は、夜の静けさの中、喉を鳴らしていた。



翌朝。



俺は、いつもより早く
目を覚ました。

足先に、冷たいものが触れた。

…シーツが濡れている。





…………………苺だ。



俺は、速やかにその処理をし、急いで朝の支度をした。



苺は、何もなかったかのように、俺の足元にすりよってくる。



━━━━みゃあ みゃあ

そうか、
腹が減ったのか。

━━━━━━━みゃあぁ

悪いけど、急ぐんだ。

━━━━━━みゃあーん

誰かさんがあんなことさえしなきゃ、時間もあったんだけどな。

━━━━━━みゃあ~?





俺は、家を出た。

もちろん苺も、
外に出しておいた。
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