微かにピンク色
「ハハッ……酷い……顔だね」

鏡の中のワタシに向かって、そうつぶやいた。


先程ビンタされた頬はまだ赤く腫れている。
冷たい水で強く洗ったせいか、頬がつっぱった感覚だ。


「…たしかにあんたは…ブスだね。」
ワタシはまたつぶやいた。


ニキビができている、とても美肌とは言えないような肌。

目元は大きなクマが出来ている。


潤いのないカサついた唇。

だらしなく伸びた天然パーマの重たい黒髪。



太めの体…。


良いところなんて、ひとつもない。



高校3年間、勉強しかしてこなかった。休み時間はほとんど本を読んでいた。
そのせいか、ワタシはかなり目が悪く、分厚い度の強い眼鏡をいつもかけていた。


オシャレにも感心がなく、髪も伸ばしたままだった。


しばらく鏡を見つめたあと、キレイに洗濯されているタオルで顔を拭き、眼鏡をかけて、自分の部屋へ向かった。



< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop