漆黒シンデレラ






「やぁ、環ちゃん奇遇だな」


——翌日。何故かやけにキラキラとした笑みを浮かべたはー君が我が家に訪ねて来た。


「奇遇って——何で、ウチに?」


加賀美君に言った通り、うちの敷居に一歩も足を踏み入れさせていない。ここまで来るといっそ清々しいような気がするよ。



「ん?環ちゃんって、学校のリボン習字に忘れていったろ?だから持って来たんだ」



毒気が抜けるような笑みを浮かべられると邪険に扱えないから困るんだけど——そんな環の心内を他所に葉澄はリボンを差し出した。



「もう環ちゃんったら、ドジっ娘☆」

「どの辺りが?!まあ……でも、ありがとうはー君」



いつだってはー君は狡い。そうやって私に優しくしてくれるから。誰にでも優しいから——



(加賀美君は——本当に大変だ)

改めて彼の苦労加減をここで垣間みたような気がした。まあ、こんな瞑想を繰り返したって仕様がない。






「ねぇねぇ、環ちゃんこれから遊びに行かない?」








なんつー爆弾をぶっ放すんだこの子。


私の心は完全に折れて、「orz」の格好をしたかったんだけど——



「あ、あの……環さんは忙しいので——」


 
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