漆黒シンデレラ
***
「ねえ、小堺さん。大薙の"木城"君と知り合いなの?」
一体どうしてこうなった。
私は心の中で叫び声をあげた。
(……畜生。面倒なことになった)
加賀美君とはー君に出会った翌日、学校の行けばなぜか矢沢さんに呼び出された。
しかも……体育館裏って、ベタだよベタ!
「…い、いや~知り合いというか、なんというか…」
「ハッキリしてくんない?」
(すいません!!綺麗な顔で睨まないで!!)
体中に冷や汗を流しながら、私は答えようとした。
ここで嘘を言ったってしょうがない。本当のことを言おう…。
嘘ついたって、私には何のメリットもない。
「き、木城君とは…小学校が一緒だったの。まさか、バッタリ出逢うなんて~!や、矢沢さんはき、木城君と知り合いなの?」
なんて下手なんだ私!やましいことなんて一つもないだろう!!
「ふぅ~ん…。同級生ってわけ?」
「そ、そうです!」
「そう。ゆうは、木城君とちょっとした"お知り合い"なだけ。まあ、これから仲が発展していくんだけどね~」
ちょっとしたお知り合いってなんだよ!!
それただの知人じゃんか!
(……もしかして、合コンって矢沢さん達のグループと?)
以前聞いた会話と加賀美君の「欠陥品発言」が何だか一致したような気がするのは気のせいじゃなかろうか。
なんだか不穏な空気が渦巻いてきたような気がする。
「……じゃあ、余計なことしないでね」
その言葉に含まれた本当の意味を私はまだ解りえなかった。