漆黒シンデレラ
06.藍色は脆い夢を見た
私は賭けすら捨てた。
(……きっと、忘れられる運命なのだろうか)
『……ねえ、それでも私は覚えていても良いのかな?』
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「……あれっ、」
――俺は夢を見た。
視界には、朝日に照られた天井があった。
なんて目覚めの悪い朝なんだ。
木城葉澄は頭を抱えながら、上体を起こした。
(……環ちゃんの手がすり抜け、俺にさよならを言うシーンで目覚めるなんて)
なんだか、奇妙で。
だけれど、怖くて。
この手に環ちゃんを捕まえることができなかった。
あの手を掴むことができなかった。
……どんどんどんどん、考えが悪い方向にしか向かない。
「……今日こそ、環ちゃんの家に」
そう決心した、朝食をとるためにリビングに下りていった。
今日は土曜日で生憎部活も休みの日であった。
こんな日を利用しないことはない。
(……会わなきゃ、理由はないけれど)