漆黒シンデレラ
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こんな馬鹿で阿呆な物語はさっさと終わらせてやる。
こんな馬鹿で阿呆な物語には、喜劇のような曲で終わらしたほうが滑稽で人の記憶にも残るだろう。
俺なら真っ先に最近覚えた「ラプソディー・イン・ブルー」をBGMとして推奨する。
あの酔狂な姉にはぴったりな曲だと思う。
(--だから、酔狂なんだ)
何に狂ったかわからないが、自分の半身といえるようなものをこの世から抹消しようとした。
抹消というよりかは、奉納しに行ったのが正しいがな。
(なあ…姉貴、なんでこんな阿呆面した奴のためにこんなにも苦しむんだ)
本当に阿呆みたいだろう。本当に阿呆なのだ。
この男は俺にとったら、何の価値もない何の思い入れのないはずなのに…
この男と姉貴は"同じ想い"を抱いているはずなのに、なんでこう…
交わる交わらないじゃない、もう互いの気持ちがわからないほど絡み合っているのだ。
確認すらできない距離まできている。まさに盲目になっても過言ではない。
「……消えろよ、木城葉澄。もう二度と俺ら家族の前に現れるんじゃねぇよ…」
「なっ…!!何度言えばわかるんだ!環ちゃんの居場所をーー!!」
もう――キレた。
「テメェの知ってる姉貴はもう居ねぇつってんのがわからねぇのかよっ!!!!!」
もう、やめてくれ。