時空少女
気付けば、どこかの部屋にいた。この部屋も、広い。周りわ、ふすまだらけであった。ふすまには、朱雀が描かれている。
あのフリーズしたまま、彼の後をふらふら歩いていたのだ。聞きたいことが多すぎる。
なのに、ここに連れてきた張本人は、どこへ行ったのだ。姿がない。
沙柚はキョロキョロしていると、スパーン!と勢いのいい音をたてて後ろの戸が開いた。

「やっと正気に戻ったか。」

彼だ。正気とは失礼な言い方だ。沙柚は少し眉を寄せた。

「さあ、詳しくはなそうじゃねーか。」

そうだ。私は…
彼に聞きたいこと言いたいこと全て口から出た。

「ねえ、なんでこの塔こんな広いの!?って…ちがう!さっきの奴らなに!?焔天ってなんのこと!?!?それに…私のこと翼天って…………」

「ストーップ!一気に話すな、わかんねーだろ。」

「じ、じゃぁ……」

「おまえ、なにも知らないだろ?俺が順序よく説明してやる。」

彼はあぐらをかきながら、偉そうに座った。

「まずは……名前。」

「へ…?」

「あんたの名前だ。自分の名前くらい言えるだろ?」

ずいぶん態度がデカいな。と言えるわけもなく、でも名前聞かれたことにちょっと喜びを感じながら言った。

「私は金田沙柚。あなたは?」

「俺の名は燿十(あきと)。んぢゃぁ、沙柚。説明してやるよ。」
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