時空少女
一方、燿十が出て行ってから沙柚は部屋の真ん中で大の字になって寝ころんでいた。
自分がどうしたいのか。
それを、考えていた。
まずはっきり分かるのは帰りたい、ということ。
"この世界"が大変なのはよく分かるし、あまり馴染みはないが見捨てることもできない。協力くらいならするつもりだ。
だが、その協力の範囲がもんだいだ。
燿十の話を聞く限り、自分はけっこう…いや、かなり重要なポジションにいる。
そんなの有り得ない。
もし万が一そうだったとしても、"この世界"の明暗をわけるような賭けなど、自分には重すぎる。
だんだんと暗くなる思考を振り切るように沙柚は頭を振った。
とにかく!帰れるのか分からないが帰る方法を見つけること。自分には、学校だってあるし友達も親もいる。
もしかしたら、探しているかも知れないから帰りたい。
ならば、この世界にまずは慣れよう。それから、考えよう。
なんだか、頭の中がスッキリした。
「よし!頑張れ自分!」
一通りまとまったとき、タイミングよくノック音がした。